奨学金と税金(所得税・贈与税)と確定申告の必要性


奨学金は、振込の際に税金が天引きされません。

ですので、確定申告の際、税金を支払う必要の有無について疑問に思うところですが、実は、以下のように、原則として、奨学金について税金を払う必要はありません。

ただし、給付型の奨学金については税金が課される場合がありますので、その場合は、確定申告をする必要があります。



貸与型奨学金の場合


所得税

奨学金として借りたお金には、所得税は課されません。

借金(負債)は、所得には当たらないからです。

つまり、貸与型奨学金についての所得税の申告は不要です。

贈与税

奨学金として借りたお金には、贈与税は課されません。

借金は、贈与されたものには当たらないからです。

つまり、貸与型奨学金についての贈与税の申告は不要です。


給付型奨学金の場合


所得税

奨学金として給付されたお金には、所得税は課されません

所得税法第九条第一項第十四号で「学資に充てるため給付される金品」は非課税所得と定められているからです。

つまり、給付型奨学金についての所得税の申告は不要です。

贈与税

1.会社などの法人から奨学金を給付される場合

会社などの法人から給付される奨学金に贈与税は課されません。

相続税法第21条の3第1項第1号で「法人からの贈与により取得した財産」は贈与税非課税財産であると定められているからです。

この場合、給付型奨学金についての贈与税の申告は不要です。

2.会社などの法人以外から奨学金を給付される場合

会社などの法人以外から給付された奨学金については、1月1日から12月31日までの1年間に給付された奨学金の合計額が110万円以下であれば、奨学金についての贈与税は課されません。

この場合、奨学金についての贈与税の申告は不要です。

しかし、1年間に給付された奨学金の合計額が110万円を超えるのであれば、原則として、給付された奨学金の合計額から110万を差し引いた残りの額に対して贈与税がかかります。

の場合、奨学金についての贈与税の申告が必要になります。

ただし、これには例外があり、年間の給付額が110万を超える場合でも、贈与税を払う必要がない場合があります。

それは、給付される奨学金が、相続税法第二十一条の三第一項第四号で定められている一定の要件を満たす金品に該当する場合です。

相続税法第21条の3第1項第4号
「所得税法第78条第3項 (寄附金控除)に規定する特定公益信託(以下この号において「特定公益信託」という。)で学術に関する顕著な貢献を表彰するものとして、若しくは顕著な価値がある学術に関する研究を奨励するものとして財務大臣の指定するものから交付される金品で財務大臣の指定するもの又は学生若しくは生徒に対する学資の支給を行うことを目的とする特定公益信託から交付される金品」

もしも1年間に給付された奨学金の合計額が「110万円を超える」のであれば、奨学金が上記の法定の金品に該当するかどうか、給付団体に確認しましょう。該当すれば、贈与税の支払いは不要です。



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